今回は、Windows 11のエディションの一つである「Windows 11 Professional」の特徴と機能について紹介します。
Windows 11 Professionalは、主にビジネス向けに設計されたOSで、Home版と比較して高度なセキュリティ機能や管理機能が搭載されています。
Windows 11 Professionalとは
Windows 11 Professionalは、Microsoftが提供するWindows 11のビジネス向けエディションです。Home版と比較して、より高度なセキュリティ機能や管理機能が搭載されており、企業環境での利用に適しています。基本的な操作性や見た目はHome版と変わりませんが、バックグラウンドで動作する機能に大きな違いがあります。
Windows 11 Professionalは、Microsoft 365との連携や、BitLockerによるデバイス暗号化、リモートデスクトップ機能など、ビジネスシーンで重要となる機能が標準で搭載されています。これにより、企業の情報セキュリティ対策やIT管理者の負担軽減に大きく貢献します。
Windows 11 ProfessionalとHome版の主な違い
セキュリティ機能の違い
Windows 11 Professionalの最も大きな特徴は、強化されたセキュリティ機能です。具体的には以下のような機能が搭載されています。
- BitLocker:ドライブを暗号化する機能で、PCが盗まれたり紛失したりしても、データが漏洩するリスクを軽減できます。
- Windows情報保護(WIP):企業データとプライベートデータを分離し、企業データの漏洩を防止します。
- TPM(トラステッド・プラットフォーム・モジュール)2.0:データの暗号化に使用する鍵を安全に保管するハードウェアチップで、より強固なセキュリティを実現します。
一方、Windows 11 Home版にも基本的なセキュリティ機能は搭載されています。Home版では「デバイスの暗号化」機能がありますが、Professionalの「BitLocker」と比較すると機能が限定的です。デバイスの暗号化はBitLockerの技術を使用していますが、Home版では管理機能が制限されており、暗号化の詳細設定や外部ドライブの暗号化などの高度な機能は利用できません。
管理機能の違い
Windows 11 Professionalでは、企業内でのPC管理を容易にする機能が豊富に搭載されています。
- グループポリシー:組織内の複数のPCに対して一括で設定を適用できる機能です。
- ドメイン参加:企業のActive Directoryドメインに参加して、集中管理が可能になります。
- リモートデスクトップ:別のPCから遠隔でアクセスして操作できる機能です。Home版ではホストとしての機能が制限されています。
これらの管理機能は、特に複数のPCを管理する必要がある企業にとって有用です。IT管理者の負担を軽減し、セキュリティポリシーの統一的な適用を可能にします。
仮想化機能の違い
Windows 11 Professionalには、以下のような仮想化関連の機能も搭載されています。
- Hyper-V:Microsoftの仮想化技術で、1台のPCで複数のOSを同時に実行できます。
- Windows Sandbox:安全な仮想環境でアプリケーションを実行し、マルウェアなどのリスクを隔離できます。
これらの機能は、開発者やIT専門家、セキュリティ意識の高いユーザーにとって重要な機能です。Home版ではこれらの機能は利用できません。
Windows 11 Professionalの価格
Windows 11 Professionalの価格は、購入方法や販売形態によって異なります。一般的な価格帯は以下の通りです。
- Microsoft Store公式価格:28,380円(税込)
- 家電量販店やオンラインショップでの実売価格:約19,000円〜28,000円
- Windows 11 Home→Pro アップグレード価格:13,824円(税込)
一方、Windows 11 Home版は15,000円〜20,000円程度で、Professional版と比較すると約10,000円ほど安価になっています。この価格差が、個人ユーザーがHome版を選ぶ主な理由の一つになっています。
ただし、新しいPCを購入する場合は、多くの場合Windows 11が既にプリインストールされているため、別途購入する必要はありません。企業向けのPCであれば、初めからProfessional版がインストールされている場合が多いです。
Windows 11 Professionalが向いているユーザー
Windows 11 Professionalは、以下のようなユーザーに特に適しています。
企業・組織のユーザー
企業や組織では、セキュリティリスクの管理や複数PCの一元管理が重要な課題です。Windows 11 Professionalに搭載されているBitLockerやグループポリシー機能は、これらの課題解決に大きく貢献します。特に以下のような企業ユーザーにおすすめです。
- 顧客情報や機密情報を扱う企業
- 複数のPCを一元管理する必要がある組織
- リモートワークを導入している企業
専門職・フリーランス
専門職やフリーランスの方々も、Windows 11 Professionalのメリットを享受できます。特に以下のような方におすすめです。
- クライアントの機密情報を扱うコンサルタントや士業
- 複数の開発環境が必要なプログラマー・エンジニア
- 安全性の高い環境で作業する必要があるクリエイター
セキュリティ意識の高い個人ユーザー
一般的な個人ユーザーの多くはHome版で十分ですが、特にセキュリティを重視する場合や以下のような方にはProfessional版も検討する価値があります。
- 金融情報や重要なデータを扱う方
- 高度な仮想化機能を利用したい方
- リモートデスクトップを使って別PCから自宅のPCを操作したい方
Windows 11 ProfessionalからHomeへの移行は可能か
Windows 11 ProfessionalからHome版への移行(ダウングレード)は基本的に推奨されておらず、クリーンインストール(PCの初期化)が必要になります。そのため、データのバックアップや再インストールの手間が発生します。
一方、Home版からProfessional版へのアップグレードは比較的容易です。Windows 11 Home版がインストールされているPCで、以下の手順でアップグレードできます。
- [スタートボタン]→[設定]→[システム]→[ライセンス認証]を開く
- [プロダクトキーを購入]をクリック
- [Windows のエディションをアップグレード]→[Microsoft Store を開く]を選択
- 表示された価格でアップグレードを購入・実行
このように、後からでもProfessional版へのアップグレードは可能ですが、最初からProfessional版を選択した方が手間がかからない場合もあります。
まとめ
Windows 11 Professionalは、ビジネスユーザーや高度なセキュリティ機能を必要とするユーザーに適したエディションです。BitLockerによるドライブ暗号化、グループポリシーによる管理機能、Hyper-Vなどの仮想化機能など、Home版にはない多くの機能が搭載されています。
企業や組織でPCを使用する場合、またはセキュリティを特に重視する個人ユーザーの場合は、価格差はあるものの、Windows 11 Professionalの導入を検討する価値があります。一方、一般的な家庭用途や学習用途であれば、Windows 11 Home版で十分対応できるでしょう。
自分の用途や必要な機能を考慮し、最適なWindows 11のエディションを選択することが重要です。