Windows 11へのアップグレードやクリーンインストールを行う際に、USBインストールメディアを作成する必要があることがあります。
そのような場合に便利なのが「Rufus」というフリーソフトウェアです。
この記事では、Rufusを使ってWindows 11のインストールメディアを作成する方法を紹介します。
特にTPM 2.0やセキュアブートなどのシステム要件を満たしていないPCでも、Rufusを活用することでWindows 11をインストールできる可能性があります。
Rufusとは
Rufus(ルーファス)は、起動可能なUSBドライブを作成できるフリーソフトウェアです。開発者はPete Batard氏で、日本語翻訳は今井翠氏が担当しています。広告やバンドルソフトが付属しておらず、公式サイトからダウンロードすれば安全に使用できます。
Rufusの主な特徴として以下が挙げられます:
- 軽量で高速なインストールメディア作成
- Windows、Linux、BSD系OSなど、幅広いOSに対応
- Windows 11のシステム要件をバイパスする機能
- ローカルアカウントでのインストールを可能にする機能
- インストール不要で実行ファイルをダブルクリックするだけで使用可能
準備するもの
Windows 11のインストールメディアを作成するには、以下のものが必要です:
- Windows PCとインターネット接続
- 8GB以上の空き容量があるUSBメモリ(中のデータは消去されるので注意)
- Rufusの最新バージョン
- Windows 11のISOファイル(Rufusから直接ダウンロードも可能)
Rufusのダウンロードとインストール
まずはRufusを入手します。以下の手順で行います:
- Rufus公式サイト(https://rufus.ie/ja/)にアクセスします。
- 「Rufus x.x」(xはバージョン番号)の「標準」をクリックしてダウンロードします。
- ダウンロードした実行ファイル(rufus-x.x.exe)をダブルクリックすると、インストール不要でRufusが起動します。
最新版を使用することで、エラーを防止できます。古いバージョンではエラーが発生することがあります。
Windows 11のISOファイルの入手方法
Windows 11のISOファイルは、Microsoft公式サイトからダウンロードするか、Rufusの機能を使って直接ダウンロードすることができます。ここではRufusを使う方法を紹介します:
- Rufusを起動し、「デバイス」にUSBメモリが表示されていることを確認します。
- 「選択」ボタンの横の▼をクリックして「ダウンロード」を選択します。
- 「ISOイメージのダウンロード」ウィンドウが表示されたら、「バージョン」メニューで「Windows 11」を選択し、「続ける」をクリックします。
- 「リリース」メニューで最新のリリースを選び、「続ける」をクリックします。
- 「エディション」メニューで「Windows 11 Home/Pro/Edu」を選び、「続ける」をクリックします。
- 「言語」メニューで「日本語」を選び、「続ける」をクリックします。
- 「アーキテクチャ」で「x64」を選び、「ダウンロード」をクリックします。
Rufusの「ダウンロード」機能が表示されない場合は、Rufusの設定で「更新の確認」を「毎日(規定)」に変更すると利用できるようになります。
Rufusを使ったWindows 11インストールメディアの作成
ISOファイルが準備できたら、次はインストールメディアを作成します:
- USBメモリをPCに接続し、Rufusを起動します。
- 「デバイス」でUSBメモリが選択されていることを確認します。
- 「ブートの種類」で「ディスクまたはISOイメージ」を選択し、「選択」ボタンをクリックします。
- ISOファイルを選択します(既にダウンロード済みの場合)。
- 「パーティション構成」は通常「GPT」を選択します。現在使用しているPCがMBRの場合はMBRを選択してください。
- 「ターゲットシステム」は通常「UEFI(非CSM)」を選択します。レガシーBIOSを使用している場合は「BIOS(またはUEFI-CSM)」を選択してください。
- 「ボリュームラベル」は分かりやすい名前(例:「Windows 11」)に変更します。
- 「ファイルシステム」は「NTFS」を選択します。
- 「クラスターサイズ」はデフォルトのままでOKです。
- 「スタート」ボタンをクリックします。
Windows 11のシステム要件をバイパスする方法
Windows 11には、TPM 2.0やセキュアブートなどの厳しいシステム要件があります。古いPCではこれらの要件を満たせない場合がありますが、Rufusを使用することでこれらの制限を回避できます:
- 前述の手順でRufusの設定を行った後、「スタート」ボタンをクリックします。
- 「Windowsユーザーエクスペリエンス」ダイアログが表示されます。
- 「4GB以上のRAM、セキュアブート及びTPM 2.0の要件を削除」にチェックを入れます。
- 「オンラインアカウントの要件を削除」にチェックを入れると、インストール時にMicrosoftアカウントを要求されずローカルアカウントでセットアップできます。
- 「OK」をクリックして、USBメディアの作成を開始します。
システム要件を満たさないPCにWindows 11をインストールする場合、一部の機能が制限されたり、将来のアップデートを受け取れなくなる可能性があります。このようなPCはMicrosoftの公式サポート対象外となるため、重要なデータを保存するPCでは使用を避けるか、事前にバックアップを取っておくことを推奨します。これらのリスクを理解した上で、自己責任で行ってください。
作成したインストールメディアの使用方法
Rufusでインストールメディアを作成した後は、以下の方法でWindows 11をインストールできます:
既存のWindowsをアップグレードする場合
- 作成したUSBメモリをPCに接続します。
- USBメモリ内の「setup.exe」をダブルクリックします。
- 画面の指示に従って、インストールを進めます。
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択すると、データやアプリを保持したままアップグレードできます。
クリーンインストールする場合
- USBメモリを接続した状態でPCを再起動します。
- 起動時にBIOS/UEFIの起動メニューを表示するキー(F12やDel、Escなど、PCによって異なる)を押します。
- USBメモリからブートするオプションを選択します。
- 画面の指示に従って、Windows 11のインストールを進めます。
よくあるトラブルと対処法
Rufusの使用中によくあるトラブルと、その対処法を紹介します:
- USBメモリが認識されない:別のUSBポートに接続するか、別のUSBメモリを試してみてください。
- ISOファイルの読み込みに失敗する:ISOファイルが破損している可能性があります。再ダウンロードするか、Rufus内蔵のダウンロード機能を使用してみてください。
- 「ダウンロード」オプションが表示されない:Rufusの設定で「更新の確認」を「毎日(規定)」に変更してください。
- 作成に時間がかかる:USB 2.0接続/メディアの場合は時間がかかります(約70分)。USB 3.0を使用すると20〜30分程度で完了します。
- 「このPCは現在、Windows 11を実行するための最少システム要件を満たしていません」というエラーが表示される:Rufusの「Windowsユーザーエクスペリエンス」設定で要件を削除するオプションにチェックを入れているか確認してください。
まとめ
Rufusを使用することで、Windows 11のインストールメディアを作成できます。特に、TPM 2.0やセキュアブートなどのシステム要件を満たさないPCでもWindows 11をインストールできる可能性があるのがメリットです。Windows 10のサポート期限が2025年10月に迫る中、古いPCでもWindows 11を試す選択肢の一つとして、Rufusは役立つツールです。
ただし、システム要件を満たさないPCにWindows 11をインストールする場合は、将来的な更新プログラムや新機能の利用に制限が発生する可能性があります。重要なデータを扱う環境では、十分なバックアップを取った上で、自己責任で行ってください。