今回は、Windows 11に標準で備わっているMicrosoft Defenderのオフラインスキャンについて、通常のスキャンとの違いや実行手順、実行前の注意点を紹介します。
「最近パソコンの動きがおかしい」「ウイルス対策のスキャンでは何も見つからないのに、なんとなく不安が残る」という場面はないでしょうか。そのようなときに役立つのが、Windowsを起動していない状態でスキャンを行うオフラインスキャンです。追加のソフトをインストールする必要はなく、Windows セキュリティアプリから実行できます。
Microsoft Defender オフラインスキャンとは
Microsoft Defender オフラインスキャン(画面上では「Microsoft Defender ウイルス対策(オフライン スキャン)」と表示)は、パソコンを再起動し、通常のWindowsを読み込まない状態でマルウェアを探すスキャンです。Windows 回復環境(WinRE)でパソコンを起動し、そこでスキャンが行われます。
通常のスキャンとの違い
マルウェアの中には、Windowsが動いている間は自分自身を隠したり、ウイルス対策ソフトからの検出をすり抜けようとしたりするものがあります。通常のスキャンはWindowsが起動した状態で行うため、こうした手ごわいマルウェアを見つけにくいことがあります。
オフラインスキャンは通常のWindowsの外側で動くため、マルウェアが活動していない状態で調べられるのが特長です。ルートキットや、起動に関わる領域に入り込むタイプのマルウェアなど、取り除くのが難しい脅威への対策として用意されています。
Windows セキュリティの4種類のスキャン
Windows セキュリティアプリには、目的に応じて次の4種類のスキャンが用意されています。
- クイックスキャン:脅威が潜みやすい場所を中心に短時間で確認する
- フルスキャン:パソコン内のすべてのファイルとプログラムを調べる
- カスタムスキャン:指定したファイルやフォルダーだけを調べる
- Microsoft Defender ウイルス対策(オフライン スキャン):再起動してWindowsを読み込まずに調べる
普段はクイックスキャンや自動のスキャンで十分ですが、感染が疑われるときや、駆除後に本当にきれいになったか確かめたいときにオフラインスキャンを使うと安心です。
オフラインスキャンを使うとよい場面
次のような状況では、オフラインスキャンの実行を検討してみましょう。
- 見覚えのないアプリやブラウザーの拡張機能が勝手に増えている
- ブラウザーのホームページや検索エンジンが知らないうちに変わっている
- 通常のスキャンで脅威が検出されたが、駆除後も不安が残る
- Windows セキュリティからオフラインスキャンの実行を勧める通知が表示された
特に最後のケースのように、Microsoft Defender ウイルス対策がオフラインスキャンが必要だと判断した場合は、通知で知らせてくれます。その通知が出たときは、作業を区切りのよいところで終えてから実行しましょう。
実行する前に確認しておきたいこと
オフラインスキャンは途中でパソコンが再起動するため、事前の準備が大切です。次の点を確認してから始めましょう。
開いているファイルを保存してアプリを閉じる
スキャンを開始すると、サインアウトしてパソコンが再起動します。作業中のファイルは必ず保存し、実行中のアプリは閉じておきましょう。スキャン自体はおおむね15分ほどで終わりますが、時間に余裕のあるときに行うと落ち着いて進められます。
BitLockerやデバイスの暗号化を使っている場合
システムドライブでBitLockerによる暗号化が有効になっていると、オフライン環境で再起動したときにBitLocker 回復キーの入力を求められる場合があります。事前にBitLockerの保護を一時停止しておくか、少なくとも回復キーをすぐに確認できる状態にしておくと安心です。回復キーはMicrosoft アカウントに保存されていることが多いので、別のスマートフォンなどから確認できるようにしておきましょう。
そのほかの条件
- 管理者権限のあるアカウントでサインインしていること
- Microsoft Defender ウイルス対策がメインのウイルス対策として動いていること(他社製のウイルス対策ソフトを使っている場合は、そちらの機能を利用する)
- Windows 回復環境(WinRE)が有効になっていること
- ARM版のWindows 11ではオフラインスキャンを利用できない
WinREが無効だと何も起こらないので注意
Windows 回復環境が無効になっていると、オフラインスキャンを開始してもエラーが表示されないまま、スキャンが実行されません。「実行したはずなのに普通に起動してしまった」という場合は、WinREの状態を確認してみましょう。管理者として開いたターミナルで次のコマンドを実行すると状態がわかります。
- 状態の確認:reagentc /info
- 無効になっていた場合の有効化:reagentc /enable
オフラインスキャンの実行手順
Windows 11では、Windows セキュリティアプリから数回の操作で実行できます。
- スタートメニューから「Windows セキュリティ」を開く
- 「ウイルスと脅威の防止」を選択する
- 「現在の脅威」の下にある「スキャンのオプション」を選択する
- 「Microsoft Defender ウイルス対策(オフライン スキャン)」を選択する
- 「今すぐスキャン」を選択する
- 作業を保存するよう求めるメッセージが表示されたら、保存を済ませて「スキャン」を選択する
- ユーザーアカウント制御の確認画面で「はい」を選択する
この後、サインアウトしてWindowsがシャットダウンされるという案内が表示され、1分ほどで再起動が始まります。再起動後は普段と違う画面でスキャンが進みますが、操作は不要です。スキャンが終わるとパソコンは自動で再起動し、通常どおりWindowsが起動します。
PowerShellから実行する方法
ターミナルを使い慣れている方は、管理者として開いたPowerShellで次のコマンドを実行しても、オフラインスキャンを開始できます。
- Start-MpWDOScan
このコマンドは実行するとすぐに再起動に進むため、必ずファイルを保存してから使いましょう。
スキャン結果を確認する方法
スキャンが終わってWindowsが起動したら、結果を確認しておきましょう。
- Windows セキュリティアプリを開く
- 「ウイルスと脅威の防止」から「スキャンのオプション」を開く、またはメニューの「保護の履歴」を選択する
- 検出された脅威や、実行された対処の内容を確認する
スキャンが実行されたかどうかを確かめるコツ
「本当にオフラインスキャンが動いたのか」を確かめたいときは、イベントビューアーが手がかりになります。「アプリケーションとサービス ログ」→「Microsoft」→「Windows」→「Windows Defender」→「Operational」と開き、イベントID 2030の記録があれば、次回の再起動時にオフラインスキャンを行うよう準備されたことがわかります。
オフラインスキャンを活用するためのTips
- 実行前に保護の更新を確認する:オフラインスキャンは最新の定義を使って脅威を探します。「ウイルスと脅威の防止」の「保護の更新」から更新プログラムを確認しておくと、より新しい脅威にも対応しやすくなります。
- ノートパソコンは電源につないでおく:スキャン中にバッテリーが切れると中断してしまうため、ACアダプターを接続した状態で実行すると安心です。
- 検出がなくても日頃の対策を続ける:オフラインスキャンは確認手段の一つです。Windows Updateの適用や、不審なファイルを開かないといった普段の心がけと組み合わせることが大切です。
- 何度も同じ脅威が検出される場合:パスワードの変更や、大切なデータのバックアップ、パソコンのリセットなども検討しましょう。
まとめ
Windows 11のMicrosoft Defender オフラインスキャンは、パソコンを再起動してWindowsを読み込まない状態でマルウェアを探す機能です。通常のスキャンでは見つけにくい、身を隠すタイプの脅威への対策として役立ちます。
- Windows セキュリティの「ウイルスと脅威の防止」→「スキャンのオプション」から実行できる
- 実行前にファイルを保存し、BitLocker 回復キーを確認できるようにしておく
- Windows 回復環境(WinRE)が無効だとスキャンが実行されない
- 結果は「保護の履歴」で確認できる
感染が疑われるときや、駆除後の確認をしたいときに、選択肢の一つとして覚えておくと安心です。