今回は、Windows 11に標準で備わっているVPN機能を使って、VPN接続を設定する方法と、接続をスムーズに使い分けるためのコツを紹介します。
Windows 11のVPN接続とは
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、インターネット上に暗号化された通信経路を作り、離れた場所にあるネットワークへ安全につなぐ仕組みです。自宅から会社のネットワークにアクセスしたいときや、カフェなどの公共Wi-Fiを使うときに役立ちます。
Windows 11には「Windows (ビルトイン)」というVPNクライアントが組み込まれているため、専用ソフトを入れなくても設定アプリから接続先を登録できます。ただし、Windowsが用意しているのは「接続する側」の機能だけです。接続先となるVPNサーバー(会社のVPN、契約しているVPNサービスなど)と、その接続情報が別途必要になります。
設定前に用意しておく情報
VPNプロファイルを作る前に、次の情報を手元にそろえておくと作業がスムーズです。
- VPNサーバーの名前またはアドレス
- VPNの種類(IKEv2、SSTP、L2TP/IPsecなど)
- サインイン方法(ユーザー名とパスワード、証明書、ワンタイムパスワードなど)
- ユーザー名とパスワード(必要な場合)
仕事で使う場合は、社内のイントラネットに設定手順やVPNアプリが用意されていることが多いので、まずはそちらを確認し、不明点は社内のサポート担当者に問い合わせましょう。個人で契約しているVPNサービスの場合は、Microsoft Storeに専用アプリがないか、またはサービスのWebサイトに手動設定用の情報が載っていないかを確認します。
VPNプロファイルを作成する手順
VPNに接続するには、まずパソコンにVPNプロファイル(接続設定)を登録します。
- 「設定」アプリを開き、「ネットワークとインターネット」→「VPN」を選びます。
- 「VPNを追加」を選択します。
- 「VPNプロバイダー」で「Windows (ビルトイン)」を選びます。
- 「接続名」に、あとで見分けやすい名前を入力します。
- 「サーバー名またはアドレス」に、接続先のアドレスを入力します。
- 「VPNの種類」で、接続先が指定している方式を選びます。
- 「サインイン情報の種類」を選び、必要に応じてユーザー名とパスワードを入力します。
- 「保存」を選択します。
接続名は用途がわかる名前にする
接続名は、接続するときに一覧に表示される名前です。「会社VPN」「自宅NAS用」「出張用」のように、用途や接続先がすぐに区別できる名前にしておくと、複数のVPNを登録したときに選び間違いを防げます。
VPNの種類がわからないときの考え方
VPNの種類には「自動」のほか、IKEv2、SSTP、L2TP/IPsec(証明書または事前共有キー)、PPTPなどがあります。接続先から方式を指定されている場合は、その方式を選ぶのが確実です。指定がない場合は「自動」を試し、うまくつながらないときに接続先の管理者へ方式を確認するとよいでしょう。
VPNに接続する方法
クイック設定からすばやく接続する
- タスクバー右側のネットワーク・音量・バッテリーのアイコンを選びます(Windowsキー+Aでも開けます)。
- 「VPN」のボタンを選択します。
- VPNを1つだけ登録している場合は、ボタンの切り替えでオン・オフできます。複数ある場合は、一覧から接続したいVPNを選んで「接続」を選びます。
- 求められたら、サインイン情報を入力します。
クイック設定にVPNのボタンが見当たらない場合は、クイック設定の編集(鉛筆アイコン)から追加できます。よく使う人は表示させておくと便利です。
設定アプリから接続する
「設定」→「ネットワークとインターネット」→「VPN」を開き、使いたいVPNの横にある「接続」を選びます。切断するときは、同じ画面で「切断」を選びます。
接続できたかを確認する
VPNの設定画面で、接続名の下に「接続済み」と表示されていれば接続されています。また、接続中はタスクバーのネットワークアイコンに盾のマークが付くため、作業中でも状態を確認できます。
使いやすくするための設定とTips
接続情報をあとから編集する
サーバーのアドレスが変わった、パスワードを更新した、といった場合は、プロファイルを作り直す必要はありません。「VPN」の画面で対象の接続を選び、「詳細オプション」を開くと、接続のプロパティの横にある「編集」から内容を変更できます。
VPN専用のプロキシ設定を使う
同じ「詳細オプション」の画面には、そのVPN接続のときだけ使うプロキシ設定の項目があります。会社のネットワークでプロキシ経由の通信が求められる場合は、ここで設定しておくと、VPN接続中だけプロキシを使い、ふだんの通信には影響させない、という使い分けができます。
従量制課金接続やローミング中の動作を確認する
VPN設定画面の下部には、「従量制課金接続経由のVPNを許可する」「ローミング中のVPNを許可する」といった項目があります。スマートフォンのテザリングやモバイル回線で外出先から会社に接続する場合、これらがオフになっているとVPNを使えないことがあります。外出先でつながらないときは、まずこの2つの設定を確認してみましょう。一方で、通信量を抑えたい場合は、あえてオフにしておくという選択もあります。
使わなくなったVPNは削除しておく
退職や契約終了などで使わなくなったVPNプロファイルは、対象の接続を選んで「削除」を選ぶと消せます。不要な接続が残っていると選び間違いの原因になるうえ、古いサインイン情報が残り続けることにもなるため、定期的に整理しておくと安心です。
つながらないときに確認したいポイント
- サーバー名またはアドレスに入力ミスがないか
- ユーザー名・パスワードが最新のものか
- VPNの種類が接続先の指定と合っているか
- 利用中のネットワーク(ホテルや施設のWi-Fiなど)でVPN通信が制限されていないか
- 接続先のサーバー側で設定変更やメンテナンスが行われていないか
自分で確認できる範囲を見直しても解決しない場合は、接続先の管理者やVPNサービスのサポートに、表示されたエラーメッセージを添えて問い合わせると話が早く進みます。
公共Wi-Fiでは接続してから作業を始める
カフェや駅などの公共Wi-Fiを使うときは、Wi-FiにつないだらすぐにVPNへ接続し、その後でメールや業務システムを開く習慣をつけておくと安心です。VPNにつなぐ前に通信が始まってしまうアプリもあるため、作業の順番を意識しておくことがポイントです。
まとめ
Windows 11では、設定アプリの「ネットワークとインターネット」→「VPN」から、追加のソフトなしでVPN接続を設定できます。接続先の情報をそろえてプロファイルを作れば、あとはクイック設定から数回の操作で接続・切断できます。
- 接続名は用途がわかる名前にして、選び間違いを防ぐ
- よく使う場合はクイック設定にVPNボタンを表示しておく
- 接続中かどうかはタスクバーの盾マークで確認できる
- 外出先でつながらないときは、従量制課金接続・ローミング中の許可設定を確認する
- 使わなくなったプロファイルは削除して整理する
会社のネットワークへのアクセスや公共Wi-Fiの利用が多い方は、自分の使い方に合わせてVPNの設定を整えておくと、安心して作業を進められます。