今回は、Windows 11の「配信の最適化」で帯域幅を制限する方法を紹介します。Windows Updateの実行中にWebページの表示が遅くなる、オンライン会議の映像が途切れる、といった場面で役立つ設定です。仕組みを理解したうえで、自分の回線や使い方に合った制限をかけていきましょう。
配信の最適化とは
配信の最適化は、Windows UpdateやMicrosoft Storeアプリのダウンロードを効率よく行うためのWindows 11の機能です。
通常、更新プログラムはMicrosoftのサーバーから入手しますが、配信の最適化が有効な場合は、同じファイルをすでに持っている他のPCからも細かく分割したデータを取得します。データの断片ごとに、速くて安定した入手元をWindowsが自動で選びます。
逆に、自分のPCがダウンロード済みのデータを、ローカルネットワーク上や(設定によっては)インターネット上の他のPCへ送ることもあります。
安全面で知っておきたいこと
他のPCとデータをやり取りすると聞くと、不安に感じる方もいるかもしれません。Microsoftの説明では、次のように整理されています。
- 配信の最適化で個人用のファイルやフォルダーが送受信されることはない
- 他のPCから受け取ったデータは、Microsoftから取得した情報をもとに信頼性がチェックされる
- インストール前にも、ダウンロードしたデータの信頼性が再度確認される
帯域幅を制限したほうがよいケース
配信の最適化は便利な仕組みですが、回線の状況によっては、ほかの通信に影響が出ることがあります。たとえば次のような場合は、帯域幅の制限を検討する価値があります。
- 大きな更新プログラムの配信時期に、ブラウジングや動画視聴が遅くなる
- オンライン会議やオンラインゲームの最中に、通信が不安定になる
- 家庭内の他の端末(スマートフォンやテレビなど)の通信が遅く感じる
- モバイルルーターなど、月間の通信量に上限がある回線を使っている
特に家庭向けの回線は、ダウンロードよりアップロードの速度が低めに設定されていることが多いため、アップロード側の制限が効果を発揮しやすい傾向があります。
まずはアクティビティモニターで使用状況を確認する
設定を変える前に、配信の最適化がどの程度通信しているかを確認しておくと、対策の必要性を判断しやすくなります。
- スタートボタンから「設定」を開く
- 左側のメニューで「Windows Update」を選択する
- 「詳細オプション」を選択する
- 「その他のオプション」にある「配信の最適化」を選択する
- 「アクティビティモニター」を選択する
アクティビティモニターでは、Microsoftから直接ダウンロードした量、ローカルネットワーク上のPCから取得した量、他のPCへアップロードした量などを確認できます。アップロード量がほとんどない場合は、通信の遅さの原因は別にあると考えられるため、Wi-Fiの電波状況やルーターなども合わせて確認しましょう。
ダウンロードとアップロードの帯域幅を制限する手順
配信の最適化そのものは有効にしたまま、使用する帯域幅に上限を設ける方法です。
- 「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」→「配信の最適化」を開く
- ページ下部の「詳細オプション」を選択する
- 「ダウンロード設定」で、制限の方式を選び、チェックを入れて値を設定する
- 「アップロード設定」で、他のPCへのアップロードに使う帯域幅の制限にチェックを入れ、スライダーで割合を設定する
- 必要に応じて「月間アップロード上限」にチェックを入れ、上限のデータ量(GB)を設定する
設定は保存操作をしなくても反映され、再起動も不要です。元に戻したい場合は、同じ画面でチェックを外すだけで済みます。
ダウンロード設定の2つの方式
ダウンロード設定では、制限の方式を選べるようになっています(Windows 11のビルドによって表記が多少異なる場合があります)。
- 絶対帯域幅:Mbps単位の固定値で上限を決める方式。回線速度がほぼ一定の環境で、確実に一定の帯域を残したいときに向いている
- 測定された帯域幅の割合:Windowsが測定した回線速度に対する割合(%)で上限を決める方式。時間帯によって速度が変わる回線や、ノートPCを持ち歩いて複数の回線を使う場合に扱いやすい
どちらの方式でも、バックグラウンドでのダウンロードとフォアグラウンドでのダウンロードを個別に制限できます。バックグラウンドは自動で行われる更新のダウンロード、フォアグラウンドは自分で「更新プログラムのチェック」を押したときやStoreアプリを手動でダウンロードしたときの通信を指します。
設定値を決めるときのコツ
- バックグラウンドを低め、フォアグラウンドは制限なし(または高め)にすると、普段の自動更新で回線が圧迫されにくく、急いで更新したいときは十分な速度で入手できる
- いきなり極端に低い値にすると、大型の機能更新プログラムの入手に時間がかかりすぎることがある。まずは中程度の値から試し、体感を確認しながら下げていくとよい
- アップロードの割合は低めにしても、自分のPCの更新速度にはほとんど影響しないため、回線への影響が気になる場合は優先して下げたい項目
- 月間アップロード上限は、上限に達するとその月は他のPCへのアップロードが止まる。通信量が限られた契約の場合に安心材料になる
共有の範囲を見直すという選択肢
帯域幅の制限とあわせて、データをやり取りする相手の範囲も見直せます。「配信の最適化」のページにある「他のデバイスからのダウンロードを許可する」で設定します。
- ローカルネットワーク上のデバイス:家庭や職場の同じネットワーク内にあるPCとだけデータをやり取りする。インターネット側への送信が発生しない
- インターネット上のデバイスとローカルネットワーク上のデバイス:同じネットワーク内に加え、インターネット上のPCともやり取りする
- オフ:他のPCとのやり取りをせず、Microsoftから直接入手する
家庭に複数のWindows 11 PCがある場合は、「ローカルネットワーク上のデバイス」を選ぶと便利です。1台が入手した更新データを家庭内の別のPCが利用できるため、インターネット回線の通信量を抑えつつ、外部へのアップロードは発生しないという使い方ができます。PCが1台だけの場合や、回線に余裕がない場合は「オフ」にしてもかまいません。オフにしても、Windows Updateそのものは通常どおり利用できます。
従量制課金接続を活用する
外出先でスマートフォンのテザリングを使う場合など、特定のネットワークだけ通信を抑えたいときは従量制課金接続の設定が役立ちます。
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」を開く
- 接続中のネットワークのプロパティを開く
- 「従量制課金接続」をオンにする
従量制課金接続として設定したネットワークでは、配信の最適化が更新データをインターネット上の他のPCと自動でやり取りしなくなります。ネットワークごとに設定できるため、自宅の固定回線は通常どおり、テザリングのときだけ控えめにといった使い分けが可能です。
うまく設定できないときの確認ポイント
- 設定項目がグレー表示になっている、または「組織によって管理されています」と表示される場合は、会社や学校のポリシーで管理されている可能性がある。勤務先のPCであれば管理者に確認する
- 大型の機能更新プログラムを適用した後は、念のため設定が意図どおりになっているか確認しておくと安心
- 配信の最適化はダウンロード済みのデータを一時的にキャッシュとして保存する。ストレージの空きが気になる場合は、ディスククリーンアップや「一時ファイル」の画面で「配信の最適化ファイル」を選んで削除できる
まとめ
Windows 11の配信の最適化は、更新プログラムを効率よく入手するための仕組みですが、回線の状況によってはほかの通信に影響することがあります。
- まずはアクティビティモニターで実際の通信量を確認する
- 「詳細オプション」で、バックグラウンドのダウンロードとアップロードの帯域幅を制限する
- 固定値で決めたいなら「絶対帯域幅」、回線速度に合わせたいなら「測定された帯域幅の割合」を選ぶ
- 通信量に上限がある場合は、月間アップロード上限や従量制課金接続を組み合わせる
- 家庭内に複数台のPCがあるなら、共有範囲を「ローカルネットワーク上のデバイス」にする方法も有効
更新を止めてしまうのではなく、帯域幅に適度な上限を設けることで、セキュリティ更新を受け取りながら快適な通信環境を保てます。自分の回線や利用スタイルに合わせて、無理のない値に調整してみてください。