今回は、Windows 11においてパソコン本体の電源ボタンを押したときの動作を変更する手順を解説します。
また、ノートパソコン特有の「カバーを閉じたとき」の設定や、各動作モード(スリープ、休止状態、シャットダウン)の違いについても触れていきます。
コントロールパネルから電源ボタンの動作を変更する手順
Windows 11では、「設定」アプリのデザインが新しくなっていますが、物理的な電源ボタンの動作設定に関しては、従来通り「コントロール パネル」から行うのが確実です。
手順1:コントロール パネルを開く
まず、コントロール パネルを開きます。いくつか方法はありますが、検索機能を使うのがスムーズです。
- タスクバーにある「スタート」ボタン、または「検索」アイコン(虫眼鏡)をクリックします。
- 検索ボックスに「コントロール」や「control」と入力します。
- 検索結果に表示される「コントロール パネル」をクリックして開きます。
手順2:電源オプションへ移動する
コントロール パネルが開いたら、電源設定の項目へ移動します。
- コントロール パネルの表示方法が「カテゴリ」になっていることを確認します。(右上の「表示方法」で切り替え可能です)
- 「ハードウェアとサウンド」をクリックします。
- 表示された項目の中から「電源オプション」をクリックします。
※表示方法が「大きいアイコン」または「小さいアイコン」の場合は、一覧から直接「電源オプション」を探してクリックしてください。
手順3:電源ボタンの動作を選択する画面を開く
「電源オプション」画面では、電源プランの選択などが表示されていますが、左側のメニューを見ます。
- 画面左側のメニューにある「電源ボタンの動作を選択する」をクリックします。
この操作により、「システム設定」画面が表示され、「電源ボタンとカバーの設定」項目を確認できます。
手順4:設定を変更して保存する
「電源ボタンを押したときの動作」の横にあるドロップダウンリストから、希望する動作を選択します。
- デスクトップパソコンの場合:「電源ボタンを押したときの動作」という項目が1つ表示されます(「スリープボタンを押したときの動作」が表示される場合もあります)。
- ノートパソコンの場合:「バッテリ駆動」と「電源に接続」の2つの列が表示され、それぞれの状況に応じた動作を個別に設定できます。
設定したい動作(例:「シャットダウン」や「スリープ状態」など)を選択したら、画面下部にある「変更の保存」ボタンをクリックします。これで設定は完了です。
選択できる動作の種類と特徴
電源ボタンに割り当てられる動作にはいくつか種類があります。それぞれの特徴を理解して、用途に合ったものを選択してください。
スリープ状態
作業中の状態(開いているアプリやドキュメントなど)をメモリに保存し、低電力モードに移行します。復帰が速いため、少し席を外す場合や、頻繁に作業を中断・再開する場合に適しています。ただし、電力はわずかに消費し続けるため、ノートパソコンのバッテリー残量には注意が必要です。
休止状態
作業中の状態をハードディスクやSSDに保存して、パソコンの電源を切ります。スリープよりも復帰に時間はかかりますが、電力消費はシャットダウン時とほぼ同じ(ゼロに近い)です。作業状態を保持したまま長時間パソコンを使わない場合や、バッテリーを節約したいノートパソコンユーザーに適しています。
※「休止状態」がリストに表示されない場合は、設定画面上部の「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックし、下部の「シャットダウン設定」にある「休止状態」にチェックを入れて保存する必要があります。
シャットダウン
開いているすべてのアプリを閉じ、Windowsを完全に終了して電源を切ります。作業を完全に終了する場合や、パソコンを長時間使用しない場合に選択します。メモリの状態はリセットされます。
ディスプレイの電源を切る
パソコン本体の動作はそのまま継続し、画面(モニター)の電源だけを切ります。バックグラウンドで処理(ダウンロードや音楽再生など)を続けたいが、画面の明かりを消して節電したい場合に便利です。
何もしない
電源ボタンを押しても反応しないようにします。誤って電源ボタンに手が当たってしまい、意図せずシャットダウンやスリープになってしまうのを防ぎたい場合に有効です。小さなお子様がいる家庭や、キーボード操作中に誤打しやすい配置の電源ボタンを持つ機種などで使用されます。
ノートパソコンの場合:カバーを閉じたときの動作
ノートパソコンを使用している場合、「電源ボタンを押したときの動作」の下に、「カバーを閉じたときの動作」という項目が表示されます。
ここでも同様に、「スリープ」「休止状態」「シャットダウン」「何もしない」から選択できます。例えば、外部モニターに接続してクラムシェルモード(ノートPCを閉じたまま使用)で使いたい場合は、ここで「何もしない」を選択する必要があります。
- バッテリ駆動:持ち運び時の誤動作防止のため「スリープ」にしておくのが一般的です。
- 電源に接続:デスクで使用する際に閉じたままにしたい場合は「何もしない」を選択するユーザーもいます。
スタートメニューの電源ボタンについて
ここまで解説してきたのは、パソコン本体の「物理的な電源ボタン」を押したときの動作です。Windowsの画面上(スタートメニュー)にある電源アイコンをクリックしたときのメニュー内容を変更するものではありません。
スタートメニューの電源ボタンをクリックした際に表示されるメニュー(スリープ、シャットダウン、再起動など)の項目を増やしたり減らしたりしたい場合は、先ほどの「システム設定」画面の下部にある「シャットダウン設定」から行います。
- 「コントロール パネル」>「ハードウェアとサウンド」>「電源オプション」>「電源ボタンの動作を選択する」を開きます。
- 画面上部にある「現在利用可能ではない設定を変更します」(盾のアイコン)をクリックします。
- 画面下部の「シャットダウン設定」のグレーアウトが解除され、チェックボックスが変更可能になります。
- スタートメニューに表示したい項目にチェックを入れ、不要な項目のチェックを外します(「シャットダウン」や「再起動」は外せない場合があります)。
- 「変更の保存」をクリックします。
設定が反映されない・項目がない場合の確認事項
手順通りに設定しようとしても、項目が見つからなかったり、設定が反映されなかったりするケースがあります。その際の主なチェックポイントを紹介します。
管理者権限の確認
電源オプションの設定変更には、管理者権限(Administrator)が必要な場合があります。会社支給のパソコンなど、ユーザー権限が制限されている環境では、設定を変更できないことがあります。その場合はシステム管理者に問い合わせる必要があります。
ドライバーの更新
古いチップセットドライバーやグラフィックスドライバーを使用していると、スリープや休止状態が正しく機能しない、あるいは選択肢に現れないことがあります。Windows Updateを実行するか、パソコンメーカーの公式サイトから最新のドライバーを入手してインストールすることで改善する可能性があります。
高速スタートアップの影響
Windowsの「高速スタートアップ」機能が有効になっていると、シャットダウンの挙動が従来と異なり、一部のシステム情報を保持したまま終了します。これが原因で電源周りの動作が不安定になることがあります。トラブルが続く場合は、先ほどの「シャットダウン設定」で「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外して様子を見るのも一つの手段です。
まとめ
Windows 11における電源ボタンの動作変更は、コントロールパネルを経由することで簡単に行えます。自分の利用スタイルに合わせて、「誤操作防止のために何もしない設定にする」「素早く作業に戻れるようにスリープにする」「完全に終了させるためにシャットダウンにする」など、最適な設定を選んでください。
特にノートパソコンユーザーにとっては、バッテリー駆動時と電源接続時で動作を分けたり、カバーを閉じたときの挙動を調整したりすることで、使い勝手が大きく向上します。