【Windows 11】夜間モードの設定方法とブルーライト軽減の活用術

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テレワークやオンライン学習の普及により、パソコンの画面に向かう時間が以前よりも長くなったと感じている方は多いのではないでしょうか。長時間ディスプレイを見続けると、目の奥が痛くなったり、肩こりがひどくなったり、あるいは夜なかなか寝付けないといった不調を感じることがあります。その大きな原因の一つとして注目されているのが、ディスプレイから発せられる「ブルーライト(青色光)」です。

Windows 11 には、このブルーライトを OS レベルで抑制する「夜間モード」という機能が標準搭載されています。特別なブルーライトカットメガネや、サードパーティ製のアプリを用意しなくても、設定一つで目に優しい画面環境を作ることができます。

本記事では、Windows 11 の夜間モードの基本的な設定方法から、自分の生活リズムに合わせた自動スケジュールの設定、さらには「ダークモード」との併用によるトータルな目のケア方法まで解説します。

Windows 11 の夜間モードとは?ブルーライトの影響も解説

まずは、「夜間モード」が具体的にどのような機能なのか、なぜ必要なのかを、ブルーライトの性質と合わせて理解しておきましょう。

ブルーライトが体に与える影響

ブルーライトとは、波長が 380 ~ 500 ナノメートルの青色光のことです。可視光線(目に見える光)の中でも最も波長が短く、強いエネルギーを持っています。太陽光にも含まれていますが、LED ディスプレイやスマートフォン、パソコンの画面からも多く放出されています。

※液晶ディスプレイのバックライト等に使われる白色LEDは、青色LEDで黄色の蛍光体を光らせて白色にしているため、青色光が多くなります(赤色は少なくなります)。
※有機ELディスプレイ(有機ELディスプレイはバックライト方式ではなく、有機ELパネル自体が発光します)は、赤、緑、青の三原色が組み合わさって各色を出すので、青色光だけが強いというブルーライト問題はありません(もしくは少ないです)。

日中にブルーライトを浴びることは、体内時計をリセットし、活動的に過ごすために重要です。しかし、夜間に強いブルーライトを浴び続けると、脳が「まだ昼間だ」と錯覚してしまい、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されると言われています。これが、寝付きの悪さや睡眠の質の低下につながる可能性があります。また、散乱しやすい性質を持つため、ピント調節機能に負担をかけ、眼精疲労の原因にもなり得ます。

夜間モードの役割

Windows 11 の「夜間モード」は、ディスプレイの色温度を調整する機能です。通常、パソコンの画面は白くはっきりと表示するために青白い光(寒色系)が強めに設定されていますが、夜間モードを有効にすると、青色成分を減らし、赤みがかった暖色系(オレンジ系)の色味に変更します。

これにより、目への刺激となるブルーライトの量を物理的に低減させます。紙の本を電球色のライトの下で読むような、柔らかい色合いになるため、長時間作業していても目が疲れにくくなる効果が期待できます。

夜間モードを有効にする基本手順

それでは、実際に Windows 11 で夜間モードを有効にする手順を見ていきます。

  1. 「スタート」ボタンをクリックし、ピン留め済みのアプリ一覧や「すべてのアプリ」から「設定」(歯車のアイコン)を選択します。
  2. 設定ウィンドウが開いたら、左側のナビゲーションメニューで「システム」が選択されていることを確認します。
  3. 右側のメインエリアに表示される一覧から、一番上の「ディスプレイ」をクリックします。
  4. 「明るさと色」というセクションの中に「夜間モード」という項目があります。この右側にあるトグルスイッチをクリックして「オン」にします。

スイッチをオンにした瞬間、画面全体が少しオレンジ色がかった色に変化します。これが夜間モードが適用された状態です。もし色味が気に入らない場合や、一時的に元の色に戻したい場合は、同じスイッチを「オフ」にすると元に戻ります。

夜間モードを使いこなす詳細設定

夜間モードは単にオン・オフするだけでなく、細かくカスタマイズすることができます。特に「スケジュールの設定」と「強さの調整」は、快適に利用するために重要なポイントです。

スケジュールの設定:自動化で手間を省く

毎回手動で夜間モードをオン・オフするのは面倒で、つい忘れてしまいがちです。Windows 11 には、時間帯に合わせて自動的に切り替えるスケジュール機能があります。

  1. 先ほどの「設定」>「システム」>「ディスプレイ」の画面で、「夜間モード」の項目の右端にある矢印(>)をクリックして、詳細設定画面に入ります。
  2. 「夜間モードのスケジュール」のトグルスイッチを「オン」にします。
  3. 「スケジュールの設定」のプルダウンメニューをクリックすると、以下の2つの選択肢が表示されます。
    • 日没から朝まで
      このオプションを選択すると、Windows がデバイスの位置情報をもとに、その地域の日の入りと日の出の時刻を自動的に計算し、夜間モードを適用します。季節によって日没時間は変わりますが、自動で追従してくれるため便利です。
      ※この機能を使用するには、「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報」で、位置情報サービスが有効になっている必要があります。
    • 時間の設定
      自分で特定の時間を指定したい場合はこちらを選びます。「オンにする」時刻(例:21:00)と「オフにする」時刻(例:7:00)をそれぞれ設定できます。仕事が終わる時間に合わせて切り替えたい場合などに有効です。

強さの調整:自分好みの色温度にする

夜間モードのデフォルトの色味が「赤すぎる」あるいは「もっと効果を強くしたい」場合は、色の強さを調整します。

  1. 夜間モードの詳細設定画面内に、「強さ」というスライダーがあります。
  2. このスライダーのつまみをマウスでドラッグして左右に動かしてみましょう。
    • 右に動かす:暖色が強くなり、赤みがまします。ブルーライトカット効果は高まりますが、色の識別は難しくなります。
    • 左に動かす:元の色味に近づきます。自然な色合いで見たい場合は左寄りに設定します。

スライダーを動かすと、リアルタイムで画面の色が変化します。自分が「文字が読みやすく、かつ目が楽だと感じる」ちょうど良いポイントを探してみてください。一般的には、スライダーの中央付近から、やや左寄り(弱め)に設定すると、違和感なく使い続けられることが多いようです。
※ブログ管理人は値を「10」にしており、かなり弱めに設定しています。

クイック設定から素早く切り替える方法

普段はスケジュール機能で自動化していても、「今すぐ画像の色を確認したいからオフにしたい」「昼間だけど目が疲れたからオンにしたい」といった場面では、「クイック設定」を使うと、ワンクリックで切り替えができます。

  1. タスクバーの右端にある、ネットワーク(Wi-Fi)、スピーカー、バッテリーなどのアイコンが並んでいるエリアをクリックします。または、キーボードショートカットの Windows キー + A を押します。
  2. 画面右下に「クイック設定」パネルが表示されます。
  3. パネル内にある「夜間モード」というボタン(月のアイコン)をクリックします。クリックするたびに、オン(色付き)とオフ(グレー)が切り替わります。

※ボタンが見つからない場合
クイック設定パネルに「夜間モード」ボタンが表示されていない場合は、以下の手順で追加できます。

  1. クイック設定パネルの右下にある鉛筆アイコン(クイック設定の編集)をクリックします。
  2. 「追加」ボタンをクリックし、リストから「夜間モード」を選択します。
  3. ボタンが追加されたら、ドラッグ&ドロップで使いやすい位置に移動し、最後に「完了」をクリックします。

夜間モードとダークモードの違いと併用

「夜間モード」とよく混同される機能に「ダークモード(ダークテーマ)」があります。これらは異なる機能ですが、併用することでさらに目の負担を軽減できます。

夜間モードとダークモードの違い

  • 夜間モード:画面の「色温度」を変更し、青色光を抑える機能。画面全体が黄色やオレンジっぽくなります。
  • ダークモード:画面の「配色(背景色)」を変更し、白背景を黒や濃いグレーにする機能。画面全体の輝度(まぶしさ)を抑える効果があります。

ダークモードの設定方法

白い背景の強い光がまぶしいと感じる場合は、ダークモードも合わせて設定することをおすすめします。

  1. 「設定」>「個人用設定」>「色」へと進みます。
  2. 「モードを選ぶ」のプルダウンメニューから「ダーク」を選択します。

これにより、ウィンドウの背景やタスクバー、対応しているアプリの背景が黒基調になり、夜間モードと組み合わせることで、より一層「目に優しい」環境が整います。

色味がおかしい?夜間モードの注意点とトラブルシューティング

便利な夜間モードですが、使用するシチュエーションによっては注意が必要です。また、うまく動作しない場合の対処法も知っておきましょう。

クリエイティブ作業時はオフにする

写真編集、動画編集、イラスト制作、デザイン業務など、正確な色を確認する必要がある作業を行う際は、夜間モードをオフにしてください。夜間モードがオンのままだと、正しい色が分からず、意図しない色味で作品が仕上がってしまう恐れがあります。

スクリーンショットへの影響

Windows 標準の機能(PrintScreen キーや Snipping Tool)でスクリーンショットを撮る場合、基本的には夜間モードの色味(オレンジ色)は画像に反映されず、元の色で保存されます。しかし、画面共有ソフトや一部のキャプチャーツールでは、夜間モードの色味がそのまま相手に伝わったり、録画されたりすることがあります。オンライン会議で画面共有をする際は、相手に見やすいようにオフにしておくのが無難です。

夜間モードが設定できない・動かない場合

  • グレーアウトして押せない
    ディスプレイアダプターのドライバーが古い、または適切にインストールされていない可能性があります。「デバイスマネージャー」を開き、「ディスプレイアダプター」のドライバーを更新してみてください。一部の業務用 PC や、リモートデスクトップ接続時には利用できない制限がある場合もあります。
  • HDR(ハイダイナミックレンジ)との競合
    HDR 対応モニターを使用している場合、HDR がオンになっていると夜間モードが機能しないことがあります。「設定」>「システム」>「ディスプレイ」>「HDR」の設定を確認し、必要であれば HDR をオフにしてみてください。

デジタル眼精疲労を防ぐためのその他の対策

夜間モードによりブルーライトを軽減できますが、それだけで万全というわけではありません。以下の習慣も取り入れて、目の健康を守りましょう。

  • 「20-20-20」の法則:20 分おきに、20 フィート(約 6 メートル)先を、20 秒間見つめるという、眼科医が推奨する休憩法です。近くを見続けて凝り固まった目の筋肉をほぐします。
  • まばたきを意識する:画面に集中すると、まばたきの回数が減り、ドライアイになりがちです。意識的にまばたきを増やしましょう。
  • 画面の明るさを調整する:部屋の明るさと画面の明るさに差がありすぎると目が疲れます。部屋の照明に合わせて、ディスプレイの輝度も調整しましょう。

まとめ

Windows 11 の夜間モードで、ブルーライトを軽減することができます。
「設定」から簡単にオンにでき、スケジュール機能を使えば、夕方以降に自動で目に優しい色合いに切り替えてくれます。
「最近目が疲れやすい」「夜パソコンを使うと眠れなくなる」といった悩みをお持ちの方は、ぜひ今日から夜間モードを設定してみてください。