今回は、Windows 7からWindows 11へのアップグレード方法を紹介します。
サポートが終了したWindows 7から最新OSへの移行は、セキュリティ対策として重要です。
直接アップグレードできない制約やハードウェア要件の確認など、知っておくべきポイントを段階的に解説していきます。
Windows 7のサポート終了とWindows 11への移行の必要性
Windows 7は2020年1月14日にすでにサポートが終了しています。これは、セキュリティアップデートが提供されなくなり、マルウェアや不正アクセスなどのリスクが高まっていることを意味します。現在もWindows 7を使い続けていると、以下のようなリスクがあります。
- セキュリティの脆弱性が修正されず、ウイルス感染のリスクが増大
- 新しいアプリケーションやハードウェアとの互換性が低下
- ビジネス利用の場合、取引先から使用を拒否される可能性
一方、Windows 11は最新のセキュリティ機能を備えており、より安全なコンピューティング環境を提供します。最新のアプリケーションとの互換性も高く、パフォーマンスも向上しています。そのため、可能であればWindows 11への移行を検討する時期に来ています。
Windows 7からWindows 11へのアップグレード方法
Microsoft公式では、Windows 7からWindows 11への直接アップグレードはサポートしていません。そのため、以下の2つの方法があります。
方法1:Windows 10を経由する(段階的アップグレード)
これが最も一般的で安全な方法です。まずWindows 7からWindows 10にアップグレードし、その後Windows 10からWindows 11にアップグレードします。
※この方法を行う場合も、万が一に備えてデータのバックアップを行ってからアップグレードを実行してください。
- Microsoft公式サイトからWindows 10のメディア作成ツールをダウンロードします
- ツールを実行し、「このPCを今すぐアップグレードする」を選択します
- 画面の指示に従ってWindows 10へのアップグレードを完了させます
- Windows 10へのアップグレード後、すべての更新プログラムを適用します
- Windows 11へのアップグレード通知が表示されたら、アップグレードを実行します
方法2:クリーンインストール
もう一つの方法は、Windows 11を直接クリーンインストールする方法です。この場合、データのバックアップが必須となります。
- 重要なデータを外付けハードディスクやクラウドサービスにバックアップします
- Microsoft公式サイトからWindows 11のISOファイルをダウンロードします
- インストールメディア(USBメモリなど)を作成します
- 作成したメディアからパソコンを起動し、Windows 11をインストールします
- インストール後、必要なドライバやアプリケーションを再インストールします
この方法ではすべてのデータとアプリケーションが初期化されるため、バックアップと復元の作業が必要になります。
Windows 11のシステム要件を確認する
Windows 7からWindows 11へのアップグレードを検討する前に、お使いのパソコンがWindows 11の最小システム要件を満たしているか確認する必要があります。Windows 11では、特に「TPM 2.0」と「セキュアブート」という新しいセキュリティ要件が追加されています。
Windows 11の最小システム要件
- プロセッサ:1GHz以上で2コア以上の64ビット互換プロセッサまたはSoC
- メモリ:4GB以上のRAM
- ストレージ:64GB以上の空き容量
- システムファームウェア:UEFI、Secure Boot対応
- TPM:Trusted Platform Module(TPM)バージョン2.0
- グラフィックスカード:DirectX 12以上、WDDM 2.0ドライバー
- ディスプレイ:9インチ以上、HD解像度(720p)、8ビット/チャネル以上
特に注意が必要なのが「TPM 2.0」と「セキュアブート」です。これらは比較的新しいセキュリティ機能で、2016年7月28日以降に出荷されたパソコンには基本的に搭載されていますが、それ以前のパソコンでは搭載されていない可能性が高くなります。
TPM 2.0とセキュアブートの確認方法
TPM 2.0の確認方法(Windows 10の場合):
- Windows+Rキーを押して「ファイル名を指定して実行」を開きます
- 「tpm.msc」と入力してEnterキーを押します
- TPM管理画面が開いたら、「TPMの製造元バージョン」が2.0であるか確認します
Windows 7では上記の方法でTPM 2.0を確認できない場合があります。その場合は、以下の方法で確認できます:
- パソコンのメーカーのサポートサイトで、お使いのモデルがTPM 2.0に対応しているか確認します
- パソコンのBIOS/UEFI設定画面でTPMの項目を探し、バージョンを確認します
セキュアブートの確認方法:
- Windows+Rキーを押して「ファイル名を指定して実行」を開きます
- 「msinfo32」と入力してEnterキーを押します
- 「システム情報」が開いたら、「セキュアブートの状態」を確認します
TPM 2.0とセキュアブートを有効化する方法
お使いのパソコンにTPM 2.0やセキュアブートが搭載されていても、初期設定では無効になっている場合があります。その場合は、UEFI(BIOS)設定で有効化する必要があります。
UEFI(BIOS)での設定方法
- パソコンを再起動し、起動時にF2、F10、DeleteキーなどのBIOS設定画面を開くキーを押します(パソコンのメーカーによって異なります)
- UEFIの設定画面で「Security」や「Advanced」などのタブを選択します
- TPM関連の設定(「TPM Device」「Security Device Support」「Intel Platform Trust Technology」「AMD fTPM」など)を探し、「Enable」に設定します
- 同様に「Secure Boot」の設定を探し、「Enable」に設定します
- 設定を保存して終了します(一般的には「F10」キーを押してから「Yes」を選択)
なお、マザーボードのメーカーやモデルによって設定画面や項目名が異なります。お使いのパソコンのマニュアルを参照するか、メーカーのサポートサイトで確認することをおすすめします。特に主要メーカー(ASUS、MSI、GIGABYTE、ASRockなど)のWebサイトには、TPM 2.0とセキュアブートの有効化に関する専用のガイドが用意されていることが多いです。
Windows 7からWindows 11へのアップグレード前の準備
アップグレード前には、以下の準備を行うことをおすすめします。
データのバックアップ
アップグレード中に予期しない問題が発生した場合に備えて、重要なデータをバックアップしておきましょう。外付けハードディスクやクラウドストレージなどを使用して、写真、動画、文書、音楽などの重要なファイルを保存しておくことをおすすめします。
使用中のアプリケーションの互換性確認
現在使用しているアプリケーションがWindows 11で動作するか確認しておきましょう。特に古いアプリケーションでは互換性の問題が発生する可能性があります。アプリケーションの開発元のウェブサイトで確認するか、最新バージョンへのアップデートを検討してください。
ドライバーの互換性確認
プリンターやスキャナーなどの周辺機器が、Windows 11で正常に動作するか確認しておきましょう。Windows 11対応のドライバーが提供されていない場合、機器が正常に動作しない可能性があります。メーカーのサポートサイトで確認し、必要に応じて最新のドライバーをダウンロードしておくことをおすすめします。
Windows 7からWindows 11へのアップグレードが難しい場合の選択肢
お使いのパソコンがWindows 11の最小システム要件を満たしていない場合や、アップグレードに問題がある場合は、以下の選択肢があります。
Windows 10への移行
Windows 10は2025年10月14日までサポートされるため、当面の間はWindows 10に移行するという選択肢もあります。Windows 7からWindows 10へのアップグレードは、Windows 11に比べてハードウェア要件が緩やかなため、古いパソコンでも実行できる可能性が高くなります。また、Microsoft社は法人向けに延長セキュリティ更新プログラム(ESU)を提供する予定ですが、個人向けには未定です。
新しいパソコンの購入
パソコンが古く、Windows 11のシステム要件を満たしていない場合は、新しいパソコンの購入を検討することも一つの選択肢です。最近のパソコンは、Windows 11が標準でインストールされており、最新のセキュリティ機能やパフォーマンスを享受できます。
まとめ
Windows 7からWindows 11へのアップグレードは、直接行うことはできず、Windows 10を経由するか、クリーンインストールする必要があります。また、TPM 2.0やセキュアブートなどの新しいセキュリティ要件が追加されており、古いパソコンではアップグレードが難しい場合があります。
アップグレードを検討する際は、まず現在のパソコンがWindows 11の最小システム要件を満たしているか確認し、必要に応じてTPM 2.0やセキュアブートを有効化してください。データのバックアップや互換性の確認など、事前準備をしっかり行うことで、アップグレードがスムーズに進むでしょう。
追記:Windows 7のライセンスとWindows 11
2023年9月に、MicrosoftはWindows 7/8からWindows 10/11への無償アップグレードの提供を正式に終了しました。しかし、一部のユーザーからは、Windows 7のプロダクトキーを使用してWindows 10の認証ができたという報告もあります。Windows 10のデジタルライセンスが認証されれば、Windows 11へのアップグレードも可能です。
ライセンスに関する注意点:
- Windows 7からWindows 10へのアップグレード時に、正しくデジタルライセンスが認証されたことを確認してください
- クリーンインストールの場合は、ライセンス認証に追加の手順が必要になる場合があります
- OEMライセンス(パソコンメーカーが提供するプレインストール版)の場合、新しいマザーボードに交換するとライセンスが無効になる可能性があります
ライセンス認証に問題がある場合は、Microsoftのサポートに問い合わせることをおすすめします。