今回は、Windows 11で古いアプリケーションを動かす方法を紹介します。
Windows 10からWindows 11へアップグレードした際、以前は問題なく使えていたアプリが動作しなくなることがあります。
この記事では、そのような状況で試せる互換性モードの設定方法やトラブルシューティングの手順を解説します。
Windows 11と古いアプリの互換性について
Windows 11はWindows 10の後継バージョンとして登場しましたが、カーネル(OSの核となる部分)の構造は大きく変わっていません。そのため、Windows 10で動作していたアプリの多くはWindows 11でもそのまま動作することが期待できます。
しかし、一部のアプリケーションではユーザーインターフェースの変更や最新セキュリティ機能の実装により、互換性の問題が発生する場合があります。
特に注意が必要なのは以下のようなアプリです:
- Windows 7やそれ以前のOSを対象に開発された古いアプリ
- 長期間更新されていないアプリ
- ハードウェアと密接に関わるドライバー系アプリ
- 特殊なセキュリティ要件を持つアプリ
動作しない古いアプリを互換モードで実行する方法
Windows 11には「互換モード」という機能が搭載されており、これを利用することで古いアプリを以前のWindowsバージョン環境で動作しているように実行できます。以下の手順で設定しましょう。
互換モードの設定手順
- 動作させたいアプリのショートカットアイコンを右クリックします
- 表示されるメニューから「プロパティ」を選択します
- 「互換性」タブをクリックします
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェックを入れます
- プルダウンメニューから、アプリが正常に動作していた過去のWindowsバージョンを選択します
- 「適用」または「OK」ボタンをクリックして設定を保存します
Windows 11では、互換モードとして「Windows Vista」「Windows Vista(SP1)」「Windows Vista(SP2)」「Windows 7」「Windows 8」の5種類から選択できます(アプリによっては「Windows 95」「Windows 98 / Windows Me」「Windows XP(SP2)」「Windows XP(SP3)」も選択できます)。なお、Windows 10の互換モードは表示されませんが、これはWindows 10とWindows 11のカーネル構造が類似しているためです。
互換モード設定後にアプリを起動し、正常に動作するか確認してみましょう。
互換性のトラブルシューティングツールを使用する方法
互換モードを手動で設定しても問題が解決しない場合は、「互換性のトラブルシューティングツール」を使用すると効果的です。このツールはWindowsが自動的に問題を検出し、最適な互換性設定を提案してくれる機能です。
トラブルシューティングツールの実行手順
- アプリのショートカットアイコンを右クリックし、「プロパティ」を選択します
- 「互換性」タブをクリックします
- 「互換性のトラブルシューティングツールの実行」ボタンをクリックします
- 「問題のトラブルシューティング」をクリックします
- 「以前のバージョンのWindowsで動作していたプログラムがインストールできない、または実行できない」などの問題を選択します
- 「このプログラムが以前動作していたWindowsのバージョン」を選択します(例:Windows 8)
- 「次へ」をクリックすると、問題の検出と修復が始まります
- 動作確認のため「プログラムのテスト」ボタンをクリックします
- 正常に動作したら「はい、このプログラムのこの設定を保存します」を選択して設定を保存します
トラブルシューティングツールは、単に互換モードを設定するだけでなく、アプリごとに最適な動作環境を総合的に設定してくれるため、手動設定より効果が高い場合があります。
その他の互換性設定オプション
互換モードの設定以外にも、アプリの動作を改善するためのオプションがいくつか用意されています。
管理者としてのプログラム実行
「互換性」タブの「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れると、アプリに管理者権限を付与して実行できます。システムファイルやレジストリにアクセスする必要があるアプリの場合、この設定が有効です。
画面設定の調整
「全画面表示の最適化を無効にする」オプションは、ゲームアプリなどでフレームレートが低下する問題がある場合に有効です。
また、古いアプリの文字やアイコンがにじんで表示される場合は、ディスプレイの拡大率(スケーリング)が原因かもしれません。このような問題を解決するために、アプリの実行ファイルを右クリック→プロパティ→互換性→「高DPI設定の変更」で調整が可能です。
アプリの再インストールを試す
互換モードやトラブルシューティングでも解決しない場合は、アプリを一度アンインストールして再インストールすると問題が解決することもあります。
アンインストールと再インストールの手順
- Windowsのスタートメニューから「設定」を開きます
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」を選択します
- 問題のアプリを見つけて、メニューボタンをクリックし「アンインストール」を選択します
- アンインストール完了後、アプリの最新バージョンがあれば入手します
- 最新バージョンがない場合は、元のインストーラーを実行して再インストールします
Microsoft App Assureサービスの活用
企業ユーザーの場合、マイクロソフトが提供する「App Assure」サービスを利用することも一つの選択肢です。App Assureは、Windows 11へのアップグレードに伴うアプリケーション互換性の問題解決を支援するための無償サービスです。
Microsoft 365やWindows 10/11のプランを150ライセンス以上購入している場合、追加費用なしでこのサービスを利用できます。App Assureエンジニアが互換性の問題解決をサポートし、必要に応じてカスタムの修正やワークアラウンドを提供してくれます。
まとめ
Windows 11は基本的にWindows 10との互換性が高く、多くのアプリケーションが問題なく動作します。しかし、古いアプリでは互換性の問題が発生することがあるため、そのような場合は以下の方法を試してみましょう。
- 互換モードでアプリを実行する
- 互換性のトラブルシューティングツールを使用する
- 管理者権限でアプリを実行する
- アプリの再インストールを試みる
- Microsoft App Assureサービスを利用する(企業ユーザー向け)
これらの方法を試しても解決しない場合は、アプリの開発元に問い合わせるか、Windows 11に対応した代替アプリの利用を検討することをおすすめします。