米国のIT大手メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は7月26日(現地時間)、2023年4~6月期の決算を発表しました。売上高は前年同期比11%増の319億9900万ドル(約4兆4900億円)、純利益は16%増の77億8800万ドル(約1兆900億円)で、5四半期ぶりに増収増益を達成しました。
メタ、広告事業で増収増益を達成 AIとメタバースに注力
メタの業績を牽引したのは、主力のインターネット広告事業です。広告事業の売上高は314億9800万ドルで、前年同期から12%増加しました。メタが運営するSNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」や「Instagram(インスタグラム)」、「WhatsApp(ワッツアップ)」などのアプリでは、ユーザーのエンゲージメントが高まり、広告主からの需要も回復しました。特に、動画広告やストーリーズ広告などの新しいフォーマットが好調だったということです。
メタのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、決算発表後の電話会見で、「良い四半期だった。アプリ全体で強力なエンゲージメントが続いており、Llama 2、Threads(スレッズ)、Reels(リール)とそれらに続く今後の新たなAI製品、そして、今秋のQuest 3の発売と、近年で最もエキサイティングなロードマップがある」と語りました。
Llama 2とは、メタが開発した大規模言語モデルで、自然言語処理や生成などに応用できるAI技術です。Threadsは、Instagramと連携した写真や動画をシェアできるアプリで、2023年1月に正式にローンチされました。Reelsは、Instagram内で15秒以内の動画を作成・共有できる機能で、2022年8月に全世界で展開されました。Quest 3は、メタが開発した次世代型のVR(仮想現実)ヘッドセットで、2023年10月に発売予定です。
これらの製品やサービスは、メタが目指す「メタバース」というビジョンに関連しています。メタバースとは、仮想空間や拡張現実(AR)などを通じて人々がコミュニケーションやコラボレーションを行える次世代コンピューター基盤のことです。ザッカーバーグ氏は、「われわれは2つの技術の波に乗っている。短期的にはAIで、長期的にはメタバースだ」と述べました。
しかし、メタバース関連の事業はまだ赤字が続いています。Reality Labsというセグメントに分類されるメタバース関連の売上高は2億7600万ドルで、前年同期比から39%減少しました。営業損失は37億3900万ドルで、赤字額は拡大しました。メタは、メタバースのエコシステムを拡大するために投資を続けるとしていますが、その成果はまだ見えていません。
メタの株価は、広告回復の決算報告を受けて、7月26日の米株式市場の時間外取引で一時終値から8%超上昇しました。しかし、メタバースに対する懸念や規制リスクなどの不透明要因もあります。メタは今後も広告事業の成長を維持しつつ、メタバースへの投資を加速させることができるのか、今後の動向が注目されます。